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植物科学:植物での免疫活性化におけるNPR1の構造基盤

Nature 605, 7910 doi: 10.1038/s41586-022-04699-w

NPR1は、植物の免疫シグナルであるサリチル酸によって誘導される、防御トランスクリプトームのマスター調節因子である。NPR1は植物免疫に重要な役割を持っているにもかかわらず、その調節機構の理解は構造学的情報がないことで妨げられてきた。今回我々は、シロイヌナズナ(Arabidopsis)のNPR1と、その転写因子TGA3との複合体のクライオ電子顕微鏡構造と結晶構造を報告する。クライオ電子顕微鏡解析により、NPR1は中央のBTB(Broad complex Tramtrack and Bric-à-brac)ドメイン、BTBとカルボキシ末端のKelchヘリックスからなる1個のバンドル、4個のアンキリンリピートと1個の秩序立っていないサリチル酸結合ドメインからなる、鳥のような形のホモ二量体であることが明らかになった。結晶構造解析からは、BTB中にある独特のジンクフィンガーモチーフが、アンキリンリピートとの相互作用とNPR1オリゴマー形成に関わっていることが示された。我々はシミュレーションを行って、サリチル酸により誘起されるサリチル酸結合ドメインの折りたたみとアンキリンリピート上への結合が、NPR1の転写補因子活性に必要であることを見いだした。これは、NPR1に依存する遺伝子発現の調節にサリチル酸が直接的な役割を担っていることの構造学的説明となる。さらに、TGA32–NPR12–TGA32複合体について我々が得た構造と、DNA結合分析および遺伝学的データから、NPR1二量体が、2個の脂肪酸が結合したTGA3二量体を橋渡ししてエンハンセオソームを形成し、転写を活性化することを示す。NPR1–TGA複合体のこうした段階的な集合は、他の転写因子とのヘテロオリゴマー複合体形成の可能性を示唆しており、NPR1が防御トランスクリプトームの再プログラム化を行う仕組みを明らかにしている。

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