マイクロ流体工学:構造的にプログラムされた毛管流事象のマイクロ流体連鎖反応
Nature 605, 7910 doi: 10.1038/s41586-022-04683-4
連鎖反応は、開始、伝播、停止によって特徴付けられ、微視的スケールでは確率論的であり、重要な化学的応用(燃焼機関など)、原子核応用、生物工学的応用(ポリメラーゼ連鎖反応など)の基礎となっている。巨視的スケールでは、連鎖反応は決定論的であり、ドミノ倒しやルーブ・ゴールドバーグ・マシンなどの娯楽や芸術の応用に限られている。一方、μTAS(micro-total analysis system)とも呼ばれるマイクロ流体ラボ・オン・ア・チップは、マイクロ電子集積回路に類似した集積チップとして構想されたが、実際には依然として、扱いにくい周辺機器、接続部品、自動化用コンピューターに依存している。毛管マイクロ流体工学は、毛管現象を用いて単一チップ上でエネルギー供給と流れ制御を一体化するものだが、プログラム可能性がまだ初歩段階であり、多くても少数(8種類)の操作しかできない。今回我々は、構造的にプログラムされた条件付きの毛管流事象の伝播として、マイクロ流体連鎖反応(MCR)を提示する。MCRを組み込んだモノリシックチップは、三次元印刷で作製され、ペーパーポンプの自由エネルギーによって動力を得て、液体操作アルゴリズムを1ステップずつ自律的に実行する。我々は、MCRを用いて、(1)連鎖的に相互接続したチップにわたる300アリコートの逐次的放出、(2)唾液中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)抗体の検出プロトコル、(3)タイマーと、同期したフロー操作とストップフロー操作の繰り返しサイクルを含む並列操作を用いた凝固活性化血漿の連続的なサブサンプリングと分析によるトロンビン生成アッセイの3つを自動化した。MCRは、周辺機器とつなげなくてもよく自由であり、in situでプログラムを構造的に符号化し、液体操作やポイント・オブ・ケア診断に広く応用される簡素で汎用的な真のラボ・オン・ア・チップを形成できる。

