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生態学:気候変動の下での海洋食料の増産

Nature 605, 7910 doi: 10.1038/s41586-022-04674-5

人口と食料需要が増大するにつれ、海洋にはますます多くの海産食品の提供が求められるだろう。漁業の改革や、沖合での水産養殖[以下「海洋養殖(mariculture)」とする]の発展によって生産量を増やすことは可能だが、海産食品の真の未来は気候変動への人類の対応に懸かっている。今回我々は、漁業の協調的な改革および海洋養殖が、気候変動の下で1人当たりの海産食品生産量を増加させられるかどうか検討した。その結果、気候適応型の漁業改革は必要だが、温室効果ガスの排出量を積極的に削減しても、それだけでは世界の1人当たり海産食品生産量の維持には不十分であることが分かった。一方、持続可能な海洋養殖が1人当たりの海産食品生産量を増加させる可能性は非常に大きく、最も深刻なものを除く全ての排出シナリオにおいて、1人当たりの海産食品生産量を増やすことができた。そうした増加には、漁業の改革、飼料技術の継続的進歩、海洋養殖の有効な管理法とベストプラクティスの確立が条件となる。さらに、不平等の縮小、改革の効果の増強、我々の分析では考慮していないリスクの低減には、排出量の劇的な削減が必須であることが示された。気候変動によって、増大し続ける食料需要を海洋が満たせるかどうかが問われることになるが、排出量の削減、捕獲漁業の改革、持続可能な海洋養殖事業の拡大のための迅速で積極的な措置により、海洋は現状を上回る量の食料を生み出せる可能性がある。

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