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分子生物学:ヘルペスウイルスがコードするmiRNAによるmiRNAプロセシングの選択的阻害

Nature 605, 7910 doi: 10.1038/s41586-022-04667-4

ヘルペスウイルスは、増殖性感染や生涯にわたる潜伏、再活性化を高めるために、宿主細胞の調節や免疫回避を行う手段を備えている。溶解性と潜伏性の切り替えとウイルスのノンコーディングRNAとの間に関係があることは以前から知られているが、それがどのようなものかは不明であった。今回我々は、ウイルスのマイクロRNA(miRNA)を介した宿主のmiRNAプロセシングの阻害が、ヒトヘルペスウイルス6A(HHV-6A)がミトコンドリア構造を破壊して、内因性の宿主防御機構を回避し、潜伏性から溶解性のウイルス感染への切り替えを誘発するために利用する細胞機構であることを明らかにする。ウイルスがコードするmiR-aU14は、miR-30ファミリーに属する多数のmiRNAのプロセシングを、それぞれのmiRNA一次転写産物(pri-miRNA)のヘアピンループと直接相互作用することで、選択的に阻害することが分かった。続いて起こるmiR-30の減少とmiR-30–p53–DRP1軸の活性化が引き金となって、ミトコンドリアの構造が完全に破壊される。これはまた、I型インターフェロンの誘導を妨げ、ウイルスの増殖性感染と再活性化の両方に不可欠であった。miR-aU14を異所的に発現させると、ウイルスの潜伏からの再活性化が引き起こされたことから、ウイルスのmiR-aU14は、ヘルペスウイルスの溶解性と潜伏性を切り替えるマスター調節因子であり、容易にドラッガブルであることが明らかになった。これらの結果は、miRNAを介したmiRNAプロセシング阻害が一般的な細胞機構であり、これがmiRNAファミリーの個々のmiRNAの選択的標的化に利用できることを示している。miR-aU14の標的化は、HHV-6関連疾患においてヘルペスウイルスの再活性化を防ぐ新たな治療選択肢になると期待される。

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