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気候科学:対流圏上部におけるHNO3–H2SO4–NH3の相乗作用による粒子の形成
Nature 605, 7910 doi: 10.1038/s41586-022-04605-4
自由対流圏上部における粒子の新たな形成は、全球の雲凝結核(CCN)の主要な供給源である。しかし、この過程を駆動する前駆体蒸気は十分に理解されていない。今回我々は、CERNのCLOUDチャンバーにおいて対流圏上部の条件下で行われた実験の結果を用いて、硝酸、硫酸、アンモニアが相乗的に粒子を形成し、その速度が3成分のうちのどの2成分による粒子の形成より数桁速いことを示す。この機構の重要性は、アンモニアの利用可能性に依存するが、これまでアンモニアは、対流中に雲粒によって効率よく除去されると考えられていた。しかし最近、驚くほど高い濃度のアンモニアと硝酸アンモニウムが、アジアモンスーン域の対流圏上部に観測されている。粒子がいったん形成されると、アンモニアと豊富な硝酸の共凝縮だけで、硫酸が微量しかなくても、CCNサイズへの急速な成長を駆動するのに十分であることが分かった。さらに、我々の測定結果は、これらのCCNが、砂漠の塵に匹敵するほど高い効率で氷核を形成する粒子であることを示している。モデルシミュレーションの結果、アジアモンスーン時にアンモニアが効率よく上空へと対流し、対流圏上部で複合酸HNO3–H2SO4–NH3の急速な核形成を駆動し、氷核形成粒子が生成されて、北半球中緯度域全体に広がることが裏付けられた。

