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原子核物理学:量子色力学におけるデッドコーン効果の直接観測

Nature 605, 7910 doi: 10.1038/s41586-022-04572-w

粒子衝突実験では、大きな運動量移行を伴う素粒子間相互作用によって、クォークとグルーオン(パートンと呼ばれる)が生成され、それらの発展は、量子色力学(QCD)の理論で記述されるように、強い力によって支配される。これらのパートンは次いで、パートンシャワーとして記述できる過程においてさらにパートンを放出し、ついには、検出可能なハドロンを形成する。パートンシャワーのパターンの研究は、QCDを検証する基本的かつ重要な実験的手段の1つである。このパターンは、デッドコーン効果と呼ばれる現象を通して、開始パートンの質量に依存すると予想されており、この効果からは、質量がmQでエネルギーがEの重いクォークによって放出されるグルーオンのスペクトルが、そのクォークの周りの角度サイズがmQ/Eの円錐の内側で抑制されると予測されている。これまで、実験で利用可能なハドロンからのクォークとグルーオンのカスケードを再構成することが難しいため、QCDにおけるデッドコーン効果の直接観測は不可能であった。今回我々は、新しい反復デクラスタリング法を用いてチャームクォークのパートンシャワーを再構成して、QCDのデッドコーンを直接観測したことを報告する。今回の結果は、QCDの基本的特徴を裏付けている。さらに、デッドコーン角の測定によって、素粒子物理学の標準模型における基本定数であるチャームクォーク質量が非ゼロであることが実験的に直接観測された。

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