Article
分子生物学:可逆的なRNAリン酸化修飾によってtRNAが安定化されて細胞が耐熱性を獲得する
Nature 605, 7909 doi: 10.1038/s41586-022-04677-2
転写後修飾は転移RNA(tRNA)の安定性と機能に重要な役割を担っている。好熱性の生物では、極端な増殖温度の下で熱安定性を維持するために、tRNAがたくさんの修飾を受けている。今回我々は、好熱性アーキア由来のtRNAの47位に2′-リン酸化ウリジン(Up)が存在することを突き止めた。Up47によって、tRNAは熱安定性とヌクレアーゼ抵抗性を持つようになる。アーキアから精製した天然のtRNAの原子構造から、Up47によって安定化される、独特で準安定なtRNAの中心構造が示された。Up47の2′-リン酸はtRNAの中心構造から溶媒面側に突き出していて、熱変性中の主鎖の回転を防いでいる。さらに我々は、Up47の形成を担うアーキアRNAキナーゼをコードするarkI遺伝子を特定した。構造解析から、ArkIの非標準的なキナーゼモチーフは正電荷を持つ領域に囲まれており、これがtRNAとの結合に必要であることが分かった。arkIのノックアウト株は高温で増殖が遅くなり、2つ目のtRNA修飾酵素を欠損させると合成的な増殖異常を示した。また、KptAのアーキアホモログが、in vitroおよびin vivoでUp47を効率的に脱リン酸化する酵素(eraser)であることも分かった。以上の結果から、我々の知見は、Up47がArkIとKptAによって仲介される可逆的なRNA修飾であり、この修飾が極限環境下でのtRNAの構造的な剛性を微調整していることを示している。

