Perspective
ゲノミクス:ヒトパンゲノム計画:ゲノムの多様性をマッピングする世界的情報資源
Nature 604, 7906 doi: 10.1038/s41586-022-04601-8
ヒト参照ゲノムは、ヒト遺伝学で最も広く使用されている情報資源であり、大幅に更新すべき時期に来ている。ヒト参照ゲノムの現在の構造は、20個体以上から得られたハプロタイプを合わせて直線的に並べたものであり、塩基配列の大半は単一個体の配列からなる。そのためこの情報資源には、ヒトゲノムの世界的な多様性が反映されていない枠組みにおいて、複数の偏りや誤りが含まれる。そこで、一塩基バリアントや構造バリアント、機能エレメントなどのありふれたバリアントを世界的に描き出した高品質の参照ゲノムが求められている。ヒトパンゲノム参照コンソーシアム(Human Pangenome Reference Consortium)は、グラフを用いてゲノムの世界的多様性をテロメアからテロメアまで完全に表現した、より高度で完成度の高いヒト参照ゲノムを作成することを目指している。今回我々は、可能な限り最高品質のヒトパンゲノム参照を構築することを目標に、技術、研究設計、世界的な協力関係における革新を利用した。我々の目標は、データ表現を改善して解析を効率化し、完全な二倍体ゲノムの定型的なアセンブリーを可能にすることである。このヒトパンゲノム参照は、倫理的な枠組みに配慮した上で、ゲノムの世界的多様性を反映したより正確で多様な情報を含んだものとして、さまざまな集団を対象とした遺伝子–疾患関連研究を改善し、ゲノミクス研究の範囲を反復や多型の最も多いゲノム領域まで拡張して、将来の生物医学研究およびプレシジョン・メディシンに向けた究極の遺伝子情報資源となるだろう。

