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移動:旧人類の居住地と種の継承に対する気候の影響
Nature 604, 7906 doi: 10.1038/s41586-022-04600-9
ヒト属(Homo)の進化では、過去200万年間の気候変化が極めて重要な役割を果たしたと長年考えられてきた。しかし、人類学的な関心の対象となる地域から得られている代表的な古気候データセットは数が限られており、そうした関係を定量化するのはいまだに困難である。今回我々は、前例のない、結合大循環モデル(CGCM)による更新世の過渡的シミュレーションを、化石および考古学記録の広範な情報と組み合わせて用いることにより、5種のヒト族について、時空間的な居住地適合性を過去200万年にわたって調べた。その結果、気温、降水量、陸域の純一次生産の天文学的に強制された変化が、これらの種に認められる分布に大きな影響を与えたことが明らかになった。前期更新世において、ヒト族は主に、軌道スケールの気候変動が小さい環境に定着していた。この行動は、中期更新世の移行期の後で著しく変化し、旧人類は、広範囲の空間的気候勾配に適応して全球的に移動するようになった。シミュレーションで得られた約30万~40万年前以降のヒト族居住地の重なりを分析した結果からはさらに、アフリカ南部およびユーラシアにおける逆位相的な気候の混乱が、ホモ・ハイデルベルゲンシス(Homo heidelbergensis)集団の、ホモ・サピエンス(Homo sapiens)とネアンデルタール人へのそれぞれの進化的移行に寄与したことが示唆された。気候に誘導された居住地変化に関する我々のロバストな数理シミュレーションによって、ヒトの起源に関する仮説を検証するための枠組みが得られた。

