がん:固形腫瘍ではCAR T細胞が引き起こす細胞殺傷にIFNγR経路が必要だが液性腫瘍では不要である
Nature 604, 7906 doi: 10.1038/s41586-022-04585-5
キメラ抗原受容体(CAR)療法は、血液悪性腫瘍の治療に変革をもたらしたが、固形腫瘍に対する有効性は限定的であることが明らかになっている。固形腫瘍は、CAR T細胞の細胞毒性に対して細胞内在性の抵抗機構を持っている可能性がある。今回我々は、抵抗性をもたらす可能性のある経路を偏りなく体系的に見つけ出すために、CAR T細胞の有効性が限られているグリオブラストーマ(神経膠芽腫)でゲノム規模のCRISPRノックアウトスクリーニングを行った。その結果、インターフェロンγ受容体(IFNγR)シグナル伝達経路(IFNGR1、JAK1もしくはJAK2)の遺伝子が失われると、グリオブラストーマなどの固形腫瘍が、in vitroとin vivoの両方で、CAR T細胞による細胞殺傷にさらなる抵抗性を示すようになることが分かった。しかし、この経路が失われても、白血病やリンパ腫の細胞株はCAR T細胞に対して非感受性にならなかった。転写プロファイリングにより、IFNγR1を欠くグリオブラストーマ細胞では、CAR T細胞への曝露後の細胞接着経路の上方調節が低いことが明らかになった。また、グリオブラストーマ細胞でのIFNγR1喪失は、CAR T細胞の結合持続時間とアビディティーを全体的に低下させることが分かった。CAR T細胞には従来の抗原提示経路が必要でないことを考えると、固形腫瘍のCAR T細胞に対する感受性にIFNγRシグナル伝達が重要な役割を担っていることは、意外である。その代わり、グリオブラストーマ腫瘍では、CAR T細胞が十分に接着して有効な細胞毒性を仲介するためにIFNγRシグナル伝達が必要とされていた。我々の研究は、液性腫瘍と固形腫瘍ではCAR T細胞との相互作用が異なっていることを示しており、T細胞と腫瘍細胞の間の結合相互作用を増強すれば、固形腫瘍での奏効性が改善できる可能性を示唆している。

