免疫学:膜貫通ドメイン中のポケットを標的とすることによるSTING活性化
Nature 604, 7906 doi: 10.1038/s41586-022-04559-7
STING(stimulator of interferon genes)は、DNAウイルスや細菌に対する自然免疫で働くアダプタータンパク質であり、STINGを介した免疫は、ワクチン開発やがんの免疫療法に活用できる可能性がある。STINGは膜貫通型の二量体タンパク質で、小胞体やゴルジ体に局在していて、その細胞質側のリガンド結合ドメインにサイクリックジヌクレオチドが結合すると活性化される。このようなサイクリックジヌクレオチドは、DNAセンサーであるサイクリックGMP-AMP(cGAMP)シンターゼや、侵入してきた細菌によって作られる。サイクリックジヌクレオチドの結合がSTINGのリガンド結合ドメイン中でコンホメーション変化を引き起こすと、それがSTINGの高次オリゴマー形成につながる。下流のシグナル伝達経路を起動するには、このオリゴマー化が不可欠である。しかし、cGAMPによって生じるSTINGオリゴマーは溶液中で解離しやすく、これまで高分解能で構造が解かれたことはなく、それが活性化機構の解明を妨げてきた。今回我々は、小分子アゴニストであるcompound 53(C53)が、ヒトSTINGのオリゴマー化と活性化をcGAMPとはまた別の機構を介して促進することを明らかにする。C53とcGAMPの両方に結合したSTINGのクライオ電子顕微鏡構造が決定され、隣り合って密着することによって全体として丸まった形を持つ、安定したオリゴマーが形成されることが明らかになった。C53はSTING二量体の2個のサブユニット間にある膜貫通ドメイン中の隠れたくぼみに結合している。この結合が引き金となって二量体の膜貫通ヘリックスが外側にずれて、これらのヘリックスの間に二量体間の相互作用が生じ、高次のオリゴマー形成を引き起こす。これらの機能解析によって、cGAMPとC53は一緒に働くと、それぞれ単独のリガンドとして働く場合よりも、STINGの強い活性化を引き起こすことが示された。

