精神科遺伝学:10の遺伝子のまれなコードバリアントは統合失調症の大きなリスクとなる
Nature 604, 7906 doi: 10.1038/s41586-022-04556-w
歴史的に、コード領域のまれな変動によって、遺伝子の機能と疾患の病因の間の最も直接的なつながりが示されてきた。今回我々は、2万4248人の統合失調症患者と9万7322人の対照群について全エキソームのメタ解析を行い、10遺伝子の極めてまれなコードバリアント(URV)が統合失調症の著しいリスクをもたらすこと(オッズ比3〜50、P < 2.14 × 10−6)、そして、これらを含め偽発見率が< 5%である計32の遺伝子を見いだした。これらの遺伝子は、中枢神経系のニューロンで最も高発現しており、シナプスの形成、構造、機能など、多様な分子機能を持つ。NMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸)受容体サブユニットGRIN2Aや、AMPA(α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソオキサゾールプロピオン酸)受容体サブユニットGRIA3の関連が示されたことで、統合失調症の病因となる機構としてグルタミン酸作動系の機能不全があるという仮説が裏付けられた。統合失調症、自閉症スペクトラム障害、てんかん、重度の神経発達障害の間にまれなバリアントによるリスクの重複が観察されたが、共通の遺伝子の一部では関与する変異のタイプは異なっていた。しかし、今回報告する遺伝子の大半は、神経発生には関与していない。統合失調症のありふれたバリアントの解析で優先順位が高かった遺伝子には、まれなバリアントによるリスクが豊富に存在することから、ありふれた遺伝的リスク因子とまれな遺伝的リスク因子が、少なくとも部分的には根底にある同一の生物学的発症過程に収斂していることが実証された。統合失調症の症例には、有意に関連する遺伝子を除外した後でも依然としてかなり過剰なURVが見られ、これは、この手法を用いて発見されるリスク遺伝子が他にも存在することを示している。

