地球科学:リソスフェア–アセノスフェア境界におけるプリューム起源の含水メルト
Nature 604, 7906 doi: 10.1038/s41586-022-04483-w
プレートテクトニクスでは、リソスフェア–アセノスフェア境界(LAB)の下に粘性の低い層が必要とされるが、この塑性転移の起源はまだ議論の的になっている。その説明には、温度上昇による弱化効果、鉱物の水和による弱化効果、部分溶融による弱化効果が含まれる。電気抵抗率は、メルトの揮発性物質含有量も含めて、これら3つの効果全てに敏感だが、地磁気地電流探査によって得られたこれまでのLABの制約条件は、推測されるメルトの量の熱力学的安定性と推定された抵抗率の不確かさの影響を同時には考慮していなかった。今回我々は、揮発性物質の存在下でのマントル溶融の実験的に制約されたパラメーター化と抵抗率のベイズ逆解析を組み合わせて、これを、ココスプレート下のLAB流路に敏感な地磁気地電流データに適用した。その結果、逆説的ではあるが、伝導性の流路には、仮定したマントルの温度に応じて、揮発性物質含有量が中程度であるメルトの割合が異常に大きいか、揮発性物質含有量が異常に多いメルトの割合が中程度であるかのいずれかが必要であることが見いだされた。メルトの割合が大きいと力学的に安定である可能性は低くなるので、メルト移動モデルとは相いれない。また、揮発性物質含有量が多いとマントル供給源は非常に濃縮されていなければならないが、これは中央海嶺の見積もりとは一致しないため、我々の結果は、マントルプリュームが揮発性物質に富むメルトをLAB流路に供給したことを示している。これには、これまで検出されていない近傍のプリュームの存在か、遠方のガラパゴス・ホットスポットの影響が必要である。含水メルトの細い流路に流れ込むプリュームが、全球的にLAB異常のまだ見つかっていない源になっている可能性がある。

