Article

精神科遺伝学:ゲノム座位マッピングが明らかにする統合失調症の遺伝子とシナプス生物学

Nature 604, 7906 doi: 10.1038/s41586-022-04434-5

統合失調症の遺伝率は60~80%で、その多くはありふれたリスク・アレル(対立遺伝子)に起因する。今回我々は、最大7万6755人の統合失調症患者と24万3649人の対照群を対象にした2段階のゲノム規模関連解析において、287か所の異なるゲノム座位でのありふれたバリアントの関連を報告する。関連は、中枢神経系の興奮性ニューロンと抑制性ニューロンで発現する遺伝子に集中しており、他の組織や細胞タイプで発現する遺伝子ではあまり見られなかった。我々は、ファインマッピングと機能ゲノムデータを用いて、これらの座位の一部での関連の根底にあると思われる120の遺伝子(106がタンパク質をコードする)を特定した。そのうち16の遺伝子は、原因であることが確からしい非同義変異または非翻訳領域変異だった。我々はまた、シナプスの構造化や分化、伝達などのニューロン機能に関連する基本的過程の関連付けも行った。ファインマッピングされた候補は、統合失調症患者のまれな機能欠失型バリアントと関連する遺伝子(グルタミン酸受容体サブユニットGRIN2Aや転写因子SP4など)に豊富に見られた他、神経発達障害で同様のバリアントに関連付けられた遺伝子でも豊富だった。本研究は、統合失調症の病態生理に関連する生物学的過程を特定するとともに、統合失調症や神経発達障害に関連するありふれたバリアントとまれなバリアントの収斂を明らかにし、メカニズムの解析を進める上で優先すべき遺伝子やバリアントの研究情報資源を提供している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度