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腫瘍生物学:黒色腫では解剖学的位置が発がん特異性を決める

Nature 604, 7905 doi: 10.1038/s41586-022-04584-6

DNAの発がん性変化が、全ての細胞状況で形質転換を引き起こすわけではない。これは起源細胞が持つ既存の転写プログラムに起因している可能性がある。今回我々は、細胞が特定のがん遺伝子に応答するかどうかを決定する主要な要因は解剖学的位置であることを明らかにする。皮膚の黒色腫は全身で生じるが、サブタイプの末端黒色腫は、手掌や足底、爪甲下に生じる。我々は、大規模な患者コホートから得た皮膚黒色腫と末端黒色腫のDNA塩基配列解読を行い、皮膚黒色腫ではBRAF変異が特異的に多く見られ、末端黒色腫ではCRKL増幅が多く見られることを見いだした。これらの変化をトランスジェニックゼブラフィッシュでモデル化したところ、CRKL誘導性腫瘍は、ゼブラフィッシュの鰭に主として形成されることが分かった。進化上、魚類の鰭は四肢類の肢の前駆構造であるため、このような末端部に位置するメラノサイトは、CRKLに対して特有の感受性を持つ可能性がある。こうした鰭と肢のメラノサイトのRNAプロフィリングを体幹のメラノサイトと比較したところ、後部HOX13遺伝子に代表される位置的アイデンティティー遺伝子プログラムが存在することが明らかになった。この位置的遺伝子プログラムはCRKLと相乗的に働き、インスリン様増殖因子(IGF)シグナル伝達を増幅して、末端部で腫瘍を誘導する。このCRKL誘導性プログラムを無効化すると、末端黒色腫の解剖学的特異性が失われた。これらのデータは、起源細胞ではその解剖学的位置によって特有の転写状態が付与されており、そのために起源細胞は特定の発がん性傷害に対してのみ感受性を持つようになることを示唆している。

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