気候科学:パリ協定の公約を実現すれば、温暖化を2°C未満に抑えられる可能性がある
Nature 604, 7905 doi: 10.1038/s41586-022-04553-z
グラスゴー気候合意に先立つ5年間にわたって、154の締約国が、国別削減目標において2030年の緩和目標を新規にまたは更新して提出し、76の締約国がより長期的な公約を提示した。2021年の国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)以前の公約の定量化では、温暖化が2°C未満に維持される可能性は50%に満たないことが示唆された。今回我々は、全ての条件付き公約と無条件の公約を完全に予定通り実行すれば、温暖化を2°C弱に維持できることを示す。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書に対する第1作業部会の寄与に沿って、地球システムの不確かさを確率的に評価すると、公約が完全に実施された場合、温暖化のピークを1.9〜2.0°C(5〜95%の範囲で1.4〜2.8°C)に抑えることができる可能性がある。我々は、21世紀の温暖化を遡及的に予測し、2015〜2021年に集団レベルの熱意がどのように変化したかを示す。我々の結果は、2030年以降または2050年以降の期限付き目標の外挿、IPCCの1.5°C特別報告書(SR1.5)シナリオデータベースの特徴、公約の完全な実行に依拠している。これらの要因についてより悲観的な仮定をすれば、より高い気温が予測されるだろう。もう1つの独立した排出量モデル化の枠組みでは、温暖化のピークが1.8°Cになると予測され、これは、公約の実現によって温暖化を2°C弱に抑えられるという知見を裏付けている。温暖化を、2°Cを「少し下回る」だけでなく、2°Cを「十分に下回る」か1.5°Cに抑えるには、今世紀半ばの全球の正味でゼロのCO2排出量に向けて、この10年で排出量の大幅な削減をもたらす政策と行動が緊急に必要である。

