微生物学:7回目のパンデミックを起こしているコレラ菌では2つの防御系によってプラスミドが排除される
Nature 604, 7905 doi: 10.1038/s41586-022-04546-y
遺伝子の水平伝播は、細菌の進化において急速な変化を引き起こすことがある。さまざまな可動性遺伝因子(特にバクテリオファージやプラスミド)は、種内や種間で遺伝子を共有する能力をもたらし、これが細菌の並外れた適応力を支えている。一方で、侵襲的な可動性遺伝因子は宿主に重大なリスクをもたらすこともあり、そのため、細菌はこれらの因子に対して無数の防御系を進化させてきた。今回我々は、進行中の7回目のコレラパンデミック(世界的大流行)の原因であるコレラ菌(Vibrio cholerae)El Tor株で保存されている2つのプラスミド防御系を明らかにする。これらの防御系(DdmABCとDdmDEと命名)は、現在のパンデミック株の特徴である2つの主要な病原性アイランドにコードされている。これらのモジュールが協働して、分解によって小型のマルチコピープラスミドを迅速に排除することが分かった。さらに、DdmABC系は広く見られ、細胞の自殺を引き起こすことでバクテリオファージ感染を防ぐことができる(不稔感染;Abi)。注目すべきことに、DdmABCはAbi様の機構を介して、広宿主域を持つIncC多剤耐性プラスミドなど、大型の低コピー数接合性プラスミドの量を増加させるが、これによって適応度が損なわれ、逆にこうしたプラスミドを持つ細胞が選択されなくなることが分かった。我々の結果は、プラスミドは環境株では豊富に見られるのにパンデミック株ではまれであるのはなぜかという長年の疑問に答えるとともに、抗生物質耐性プラスミドの伝播の理解にも影響を与え、2つの防御系の間の相互作用がパンデミックコレラ菌の最も成功した系統の進化をどのように形作ってきたかについての手掛かりを示している。

