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地球科学:アフリカ大陸下のマントル底部構造の集合
Nature 603, 7903 doi: 10.1038/s41586-022-04538-y
プレートテクトニクスは、地球の表面を形作り、地球深部における運動と関連している。冷たい海洋リソスフェアはマントル内へ沈降し、熱いマントルプリュームは地球深部から上昇して火山活動をもたらす。過去3億2000万年にわたる火山噴火は、現在アフリカ大陸と太平洋の下にあるマントル底部の2つの大きな構造と関連付けられてきた。このことが、テクトニックプレート、沈み込み帯、マントルプリュームは移動しており、マントル底部の構造が現在変形していることを示唆する観測結果やモデルとは対照的に、こうしたマントル底部の構造が地質学的時間にわたって定常的であったという仮説につながっている。本論文で我々は、10億年前から現在までのマントルの流れを再構築し、火山活動の歴史が、マントル底部構造が移動する場合と固定されていた場合で統計的にほぼ一致することを示す。この再構築結果では、7億4000万〜5億年前に冷たいリソスフェアがアフリカ大陸の領域の下深くに沈み込み、4億年前以降にゴンドワナ大陸周囲のスラブに押されてアフリカ大陸下の構造が徐々に集合して、6000万年前という最近までにまとまった構造になったことが示されている。今回のマントル流モデルは、マントル底部の構造は移動しており、地球表面の大陸と同様に、時間とともに集合・分散することを示唆している。今回のモデルはまた、アフリカ大陸下のマントルに大陸物質が存在することも予測しており、これは地球化学的データと矛盾しない。

