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物性物理学:フラットバンド化学量論的材料のカタログ

Nature 603, 7903 doi: 10.1038/s41586-022-04519-1

フェルミ準位またはその近傍のトポロジカルなフラット電子バンドは、非従来型超伝導状態や相関絶縁状態への有望な経路である。しかし、関連する実験は、主にモアレ系などの人工材料に限られている。今回我々は、フェルミ準位付近にフラットバンドがある、天然の三次元化学量論的材料のカタログを提示する。我々は、構造パラメーター、空間群、バンド構造、状態密度、トポロジカル特性が記載されているTopological Quantum Chemistryウェブサイトを用いてカタログ化した、Inorganic Crystal Structure Databaseから5万5206の物質を検討した。我々は、バンド平坦性のいくつかの直接的な特徴や特性と、全結晶構造の高スループット解析結果を組み合わせた。特に我々は、おそらくフラットバンドにつながるライングラフ副格子または二部副格子(二次元か三次元のいずれか)のホスト材料を特定した。我々はこの情報の宝庫から、将来の理論的研究や実験的研究向けの強力な検索エンジンであるMaterials Flatband Databaseウェブサイトを構築した。我々は、このデータベースを用いて2379の高品質フラットバンド材料のキュレートされたリストを得ており、この中から、原子サイトに電荷中心が強くは局在していない、フラットバンドのホスト材料となる可能性がある345の有望な候補物質を特定した。我々は、5つの代表的な材料を提示するとともに、並行して行った研究において導入したS行列法を用いて、フェルミエネルギー近傍のフラットバンドの起源について理論的に説明する。

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