Article
神経科学:迷走神経内受容感覚系の多次元的符号化構造
Nature 603, 7903 doi: 10.1038/s41586-022-04515-5
内受容感覚、つまり身体内部の変化を適時かつ正確に感知する能力は生存に不可欠である。迷走神経感覚ニューロン(VSN)は、体–脳の重要な連絡路を成しており、体の吻–尾軸に沿って腹部臓器を通り、各臓器では表面–内腔軸を横切って適切な組織層に至る。脳はVSNを通って来るさまざまな身体信号を識別できるが、その基礎となる符号化戦略はよく分かっていない。今回我々は、VSNが臓器・組織層・刺激モダリティーという内受容感覚の3つの重要な特徴を、それぞれ異なる次元で符号化していることを明らかにする。マウスの7つの主要臓器のVSNについて、多重投射バーコードを用いて大規模単一細胞プロファイリングを行った結果、「臓器」次元は、身体の吻–尾軸に沿って各臓器を符号化する発現変動遺伝子モジュールで構成されていることが分かった。また、臓器の表面–内腔軸に沿ったVSN終末の位置を符号化する遺伝子モジュールからなるもう1つの「組織層」次元も発見された。さらに、カルシウム画像化で誘導した空間トランスクリプトミクスを用いて、VSNが臓器や組織層全体で類似の刺激を感知する複数の機能的ユニットに編成されており、これが第三の「刺激モダリティー」次元を成していることが示された。これら3つの独立した特徴符号化の次元が合わさり、組み合わせ方式で多くの並行するVSN経路を特定することで、脳幹内の複雑なVSN投射を助けている。今回の研究により、哺乳類の迷走神経内受容感覚系の効果的な信号通信のための多次元符号化構造がはっきりと示された。

