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神経発生:霊長類の大脳における抑制性ニューロンの発生と進化

Nature 603, 7903 doi: 10.1038/s41586-022-04510-w

神経解剖学では古くから、霊長類での脳の拡大には、抑制性ニューロン(IN)の形態的多様性の増大が含まれると考えられてきた。最近の研究では、霊長類特異的なニューロン群が分子レベルで明らかになっている。しかし、脳で進化的に新しい細胞タイプを指定する発生機構については、ほとんど分かっていない。今回我々は、アカゲザルとマウスで、25万181個の細胞のトランスクリプトームを解析することにより、神経発生の期間を通して生成されるINを指定する遺伝子発現の軌跡を再構築した。出生前に生成される初期のINクラスは、そのほとんどが哺乳類で保存されていることが分かったが、出生前の発生期に進化的に新規な細胞タイプを指定する2つの対照的な発生機構も明らかになった。我々はまず、最近特定された霊長類特異的なTAC3線条体INが、前駆細胞の独特な転写プログラムと、それに続く新生ニューロンでの特徴的な一連の神経ペプチドおよび神経伝達物質受容体の誘導によって指定されることを示す。次に我々は、嗅球(OB)に向かう、転写的に保存された複数クラスの前駆細胞が、霊長類の拡大した白質と線条体へと転向されることを見いだした。これらの細胞クラスには、OBのドーパミン作動性の糸球体周囲細胞と似たstriatum laureatumニューロンの新規な線条体周囲クラスが含まれる。我々は、霊長類のより小さなOBに当初供給されていたのと同じクラスのニューロンが、拡大した線条体と皮質において再利用されているという進化モデルを提唱する。まとめると今回の結果は、哺乳類のINの初期のクラスに関する統一的な発生分類法をもたらすとともに、神経細胞タイプの進化の複数の発生機構を明らかにしている。

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