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生物物理学:細菌の運動性を向上させる複雑流体のコロイド的性質
Nature 603, 7903 doi: 10.1038/s41586-022-04509-3
ヒトのマイクロバイオーム、海洋生態系、土壌生態系における微生物の自然生息環境は、コロイドや巨大分子に満ちている。そうした環境は、非ニュートン的な流動特性を示し、微生物の移動運動に大きな影響を及ぼす。単純なニュートン流体中を遊泳する有鞭毛細菌に関する低レイノルズ数流体力学は大きく進展しているものの、複雑な非ニュートン流体中の細菌の運動性に関する理解はあまり進んでいない。60年にわたる研究の後でさえ、高分子溶液中の細菌の運動性向上の性質と起源に関する基本的な疑問については、依然として議論が続いている。今回我々は、希薄コロイド懸濁液中と希薄高分子溶液中の有鞭毛細菌が定量的によく似た運動挙動を示し、特に、細菌の揺動の強い抑制に付随して最大80%に達する普遍的な粒子サイズ依存性の運動性向上が見られることを報告する。コロイドが硬い球体であるという特性に基づいて(コロイドのサイズと体積分率は実験間でさまざまに変えた)、我々の結果から、複雑流体中の細菌の運動性向上に関する長年の論争を解決するための手掛かりが得られ、この現象を捉えるのに高分子動態が不可欠ではない可能性が示唆された。複雑流体のコロイド的性質を組み込んだ物理モデルによって、コロイド流体と高分子流体の両方における細菌の揺動ダイナミクスと運動性向上が定量的に説明された。今回の知見は、さまざまな微生物学的過程や、複雑環境における細菌の遊泳の操作に関連する、複雑流体中の細菌の運動挙動の理解に寄与するものである。

