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免疫学:細菌はFasを介した細胞死を阻害することにより、神経への侵入と存続を促進する
Nature 603, 7903 doi: 10.1038/s41586-022-04505-7
中枢神経系への感染は、感染の中でも最も深刻なものだが、どのような仕組みで病原体が脳に到達するのかはほとんど解明されていない。モデル微生物のリステリア菌Listeria monocytogenes(Lm)は主要な食品媒介病原菌で、中枢神経系の感染症としては最も死亡数の多いものの1つである神経リステリア症を引き起こす。免疫抑制が、神経リステリア症の宿主側リスク因子であることは十分に確立されているが、Lmの神経への侵入の要因となる細菌側の因子についてはほとんど知られていない。今回我々は、感染症のヒト化マウスモデルに毒性の極めて高い神経侵襲性菌株を接種することにより、臨床的に意義のある神経リステリア症実験モデルを開発し、細菌の表面タンパク質InlBが、CD8+ T細胞の働きによるFasを介した細胞死から、感染した単球をc-Met、PI3キナーゼ、FLIPに依存するやり方で保護することを明らかにした。このように抗Lm細胞性免疫による特異的細胞死を阻害することで、感染した単球の寿命が延びるため、感染した単球からLmが脳へと移行しやすくなる。InlBを介した細胞自律的な免疫抵抗性によって生じた細胞内ニッチは、Lmの糞便排出も促進し、これがLmの中心的な毒力遺伝子としてInlBが選択される要因になっている。今回明らかになった特異的機構では、病原菌が、自身の感染した細胞に細胞性免疫に対する抵抗性を付与することによってその寿命を延ばしている。そしてこれが、宿主内でのLmの存続、中枢神経系への移行、そして自身の伝播を促進する。

