がん:H3K27M変異型びまん性正中グリオーマに対するGD2-CAR T細胞療法
Nature 603, 7903 doi: 10.1038/s41586-022-04489-4
びまん性橋膠腫(diffuse intrinsic pontine glioma;DIPG)などのH3K27M変異型びまん性正中グリオーマ(diffuse midline glioma;DMG)は中枢神経系の小児腫瘍で、一般に致死性である。我々は以前、ジシアロガングリオシドGD2がH3K27M変異型グリオーマ細胞で高度に発現していることを示し、GD2を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T細胞が有望な前臨床効果を示すことを実証して、第I相FIH(first-in-human)臨床試験(NCT04196413)を行う根拠を示した。CAR T細胞によって誘導される脳幹炎症は、閉塞性水頭症、頭蓋内圧上昇、脳組織の危険な偏位につながることがあるため、神経集中治療(neurocritical care)という基本的注意が組み込まれた。今回我々は、H3K27M変異型DIPGあるいは脊髄DMGの患者4人に、GD2-CAR T細胞の用量レベル1での治療(1 × 106 kg−1個のGD2-CAR T細胞を静脈内投与)を初めて行った臨床試験の結果について報告する。臨床的利益が見られた患者は、続いて脳室内投与によるGD2-CAR T細胞注入に適格とされた。毒性はおおむね腫瘍の位置に関連しており、集中的な支持療法により回復した。本来の標的細胞以外の、正常組織に発現している標的を攻撃する毒性は観察されなかった。4人の患者のうち3人は臨床的改善、またX線所見での改善が見られた。炎症性サイトカインレベルは、血漿と脳脊髄液で上昇した。CAR T細胞製品および脳脊髄液に由来する6万5598個の単一細胞のトランスクリプトーム解析から、参加者間および投与経路間で応答に見られる不均一性が説明された。これらの初期の結果は、この治療法がH3K27M変異型DIPGあるいは脊髄DMGの患者に対して有望であることを強調している。

