Article
気候科学:海水準上昇の速さと一致するヨーロッパの極端な高潮の変化傾向
Nature 603, 7903 doi: 10.1038/s41586-022-04426-5
世界中の沿岸地域社会はすでに、極端な海水準の変動を通して、災害をもたらす気候変動の影響を受けている。こうした変動は、海水準上昇と高潮活動の変化の複合的な影響を反映している。極端な事象が生じる可能性を変化させるこれら2つの要因の相対的重要性を理解することは、沿岸の適応策を成功させるのに不可欠である。潮位計の記録を用いたこれまでの分析結果はいずれも、少なくとも1960年以降の極端な海水準の変化傾向の駆動要因が海水準上昇であることで一致している。しかし、疎データからこうした寄与を推測するのは難しく、それによって決定的でない結果が文献に蓄積されていることから、暴風雨の変化の寄与はまだよく分かっていない。今回我々は、空間ベイズ法を用いて潮位計の観測結果を解析し、1960年以降のヨーロッパの極端な海水準の全体的な変化に対する、極端な高潮の変化傾向と海水準上昇の変化傾向の寄与は、現在の考えに反して同程度であることを示す。我々は、極端な高潮の変化傾向のパターンは、気候の内部変動に伴う支配的な南北双極子の寄与と人為起源の強制に関連する単符号の正パターンの寄与を反映していると判断した。今回の結果は、外的影響と内的影響の両方が60年という長期間にわたって極端な高潮が生じる確率に大きな影響を及ぼすことを示しており、これは、極端な高潮が定常的であると仮定する現在の沿岸計画の慣行が不適切である可能性を示唆している。

