Perspective

化学:汎用ポリマーのアップサイクルにおける重要な進歩と将来の可能性

Nature 603, 7903 doi: 10.1038/s41586-021-04350-0

汎用プラスチックの大半は分解されず、恒久的に環境を汚染する。現在、先進国の使用済みプラスチック廃棄物のうちリサイクルされているのは20%に満たず、その大半は、エネルギー回収に使われるか、メカニカルリサイクルにより価値の下がった材料として転用されている。ケミカルリサイクルによって、プラスチックをモノマーに戻して再重合させ、ポリマーの材料特性や経済的価値を変えることなく未使用材料を作る機会が得られる。メカニカルリサイクルやケミカルリサイクルでは費用がかかり過ぎるか、そうしたリサイクルが実行不可能であるプラスチック廃棄物に関しては、黎明期にあるケミカルアップサイクルの分野が、化学的手法や工学的手法を用いてプラスチック廃棄物を新たなバリューチェーン(価値連鎖)の起点に置くのに有望である。本論文では、プラスチック廃棄物を付加価値のある高性能材料、ファインケミカル、特殊ポリマーへとアップサイクルする最先端の方法を取り上げる。我々は、一般的な概念的手法を特定することによって、それぞれの手法の利点と課題が持続可能なプラスチック経済の実現という目標にどのように寄与するのかについて、注意深く検討する。

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