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生化学:あらゆる生物で見られる活性酸素種が引き起こすメタン生成
Nature 603, 7901 doi: 10.1038/s41586-022-04511-9
メタン(CH4)は大気中に最も多量に含まれる炭化水素で、その主な生成源は生物であり、CH4生成と関連付けられる有酸素環境および無酸素環境の生物の数は増え続けている。従来、生物起源のCH4はメタン生成アーキアによる有機物の無酸素分解の最終産物と考えられてきた。しかし、植物、菌類、藻類、シアノバクテリアも、酸素の存在下でCH4を生成できる。メタン生成細菌は嫌気的エネルギー代謝中に酵素の働きでCH4を生成することが知られているが、非メタン生成細胞によるCH4生成の必要条件と経路はほとんど分かっていない。今回我々は、枯草菌(Bacillus subtilis)と大腸菌(Escherichia coli)によるCH4生成の引き金となるのは、遊離鉄と活性酸素種(ROS)であることを実証する。ROSは代謝活動によって生じ、酸化ストレスによって増加する。ROSが誘導するメチルラジカルは、硫黄や窒素に結合したメチル基を持つ有機化合物から生じ、これが重要な中間体となって、最終的にCH4生成につながる。さらに、バクテリアドメイン、アーキアドメイン、ユーカリアドメインに属する他の多くのモデル生物(いくつかのヒト細胞株を含む)も、CH4を生成することが明らかになった。これらの生物全ては、酸化ストレス誘発物質に反応して、CH4生産を亢進させた。これらの結果は、おそらく全ての生細胞に、ROS、鉄、メチル供与体の相互作用を基盤とする共通のCH4生成機構が存在することを示しており、CH4の生化学的生産と循環を理解するための新たな見方をもたらすだろう。

