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生化学:金属選択性に関する普遍的な制約をタンパク質の設計によって克服する

Nature 603, 7901 doi: 10.1038/s41586-022-04469-8

金属の選択的配位は金属タンパク質の機能に極めて重要であり、金属タンパク質が生物学的役割を果たすには、それぞれが対応する金属補因子と対になる必要がある。しかし、タンパク質の三次元構造だけによって金属選択性を実現するのは非常に難しい。それは、金属に配位するアミノ酸の官能基の組み合わせが限られていることと、タンパク質が本質的に持つ柔軟性が金属を立体的に選択する妨げになるからである。天然タンパク質の金属との結合親和性は主として金属イオンの電子特性によって決まり、アービング–ウィリアムズ系列(Mn2+ < Fe2+ < Co2+ < Ni2+ < Cu2+ > Zn2+)に従っていて、例外はほとんどない。従って、金属タンパク質はその活性部位の性質や金属イオンの類似性にかかわらず、単独ではCu2+とZn2+に結合することが圧倒的に多い。そのため、生物は正しい金属化学種の選別を実現するために、複雑な恒常性維持装置と非平衡戦略を進化させることとなった。今回我々は、in vitroと細胞内で、アービング–ウィリアムズ系列の制約を熱力学的に克服し、アービング–ウィリアムズ系列で最も優勢なイオンであるCu2+よりも系列中で低い位置にある遷移金属を選んで結合する人工の二量体タンパク質(AB)2について報告する。構造を事前構築することによって特異性を実現するという分子設計の従来のやり方に反して、(AB)2は柔軟性を持つように慎重に設計された。この柔軟性によって、(AB)2は金属に依存して決まる、相互に排他的な複数のコンホメーション状態をとることができる。これが、Cu2+結合に好ましくない配位構造を強制的にとらせることによってCu2+の結合を選択しない、構造的に組み合わさった配位部位の発見につながった。今回の結果は、タンパク質の設計の際に柔軟性が有益な要素になることを明確にしただけでなく、選択的な金属イオン封鎖剤構築のための設計原理を明らかにしている。

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