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コロナウイルス:ワクチンはSARS-CoV-2オミクロン株に対して高度に保存された細胞性免疫を引き起こす

Nature 603, 7901 doi: 10.1038/s41586-022-04465-y

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の高度に変異したオミクロン(B.1.1.529)変異株は、WA1/2020株のスパイクタンパク質をコードする現在用いられているワクチンによって誘導される中和抗体応答の大部分を回避することが示されている。細胞性免疫応答、特にCD8+ T細胞応答は、おそらく重症のSARS-CoV-2感染に対する防御に関与している。今回我々は、SARS-CoV-2に対する現在のワクチンによって誘導される細胞性免疫が、SARS-CoV-2オミクロン株のスパイクタンパク質に対しても高度に保存されていることを示す。Ad26.COV2.SワクチンあるいはBNT162b2ワクチンを接種した人は、スパイク特異的なCD8+ T細胞およびCD4+ T細胞の応答を長期間にわたって示し、これらの応答は、セントラル記憶T細胞亜集団およびエフェクター記憶T細胞亜集団内などで、デルタ変異株とオミクロン変異株の両方に対し広範な交差反応性を示した。オミクロン株のスパイク特異的なCD8+ T細胞応答の中央値は、WA1/2020株のスパイク特異的なCD8+ T細胞応答の82〜84%であった。これらのデータは、現在のワクチンはSARS-CoV-2オミクロン変異株に対する中和抗体応答が大幅に低下しているにもかかわらず、オミクロン変異株による重症疾患に対して依然ロバストな防御を示すという観察結果についての免疫学的背景を示している。

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