構造生物学:シナプス外αβ GABAA受容体の阻害と活性化の機構
Nature 602, 7897 doi: 10.1038/s41586-022-04402-z
GABA(γ-アミノ酪酸)A受容体は哺乳類の脳内では多様な集団であり、α、β、γ、δ、、ρ、θおよびπというサブユニットをさまざまに組み合わせて作られた五量体が含まれている。αβ、α4βδ、α6βδとα5βγ受容体はシナプス外に多く存在し、哺乳類脳の多くの領域で重要な持続性抑制性伝達に関わっている。ヒトでは、これらの受容体の変異はてんかんや不眠症と関連付けられている。シナプス外受容体機能の変化は、不眠症や脳卒中、アンジェルマン症候群、脆弱X症候群と関係付けられていて、これらの受容体を標的とする薬剤は産後うつ病の治療に使われている。持続性GABA作動性応答は神経情報伝達の過剰な抑制を回避するように調節されており、Zn2+阻害への高い感受性を示すことがあるが、これはシナプスに多く見られるα1βγやα2βγ、α3βγ受容体応答とは対照的である。今回我々は、これらの異なる特徴を解明するため、主としてシナプス外にあるαβ GABAA受容体クラスの構造を決定した。致死性の麻痺薬αコブラトキシンとZn2+の両方が結合した阻害状態が、GABA–Zn2+結合構造およびGABA結合構造との比較に用いられた。Zn2+は、ポアの細胞外末端を非競合的にふさいで塩素伝導性を阻害して、GABA応答を無効化している。Zn2+が存在しない場合、GABAシグナル伝達応答は、まずカノニカルな経路を通ってポアに到達する。シナプスのGABAA受容体とは対照的に、中ほどにあるポア活性化ゲートの拡張は制限されていて閉じたままであり、これはシナプス外受容体の特徴である本来的に低い有効性を反映している。まとめるとこの研究は、αβ受容体が持つ異なる特性を説明するものであり、αβ受容体はこれによって持続的な信号伝達での役割に適応している。

