Article
地球科学:地球内核の超イオン鉄合金とその地震波速度
Nature 602, 7896 doi: 10.1038/s41586-021-04361-x
地球の内核(IC)は純粋な鉄より密度が低く、その内部に軽元素が存在することが示唆されている。ケイ素、硫黄、炭素、酸素、水素がその候補として提案されており、IC組成を絞り込むために鉄–軽元素合金の性質が調べられている。軽元素は、鉄合金の地震波速度、融点、熱伝導率に大きな影響を及ぼす。しかし、ICにおける軽元素の状態はほとんど検討されていなかった。今回我々は、ab initio分子動力学シミュレーションを用いて、IC条件下では、六方最密充填構造の鉄の中の水素、酸素、炭素が超イオン状態に変化し、液体のように高い拡散係数を示すことを見いだした。これは、ICが通常の固体状態ではなく超イオン状態にある可能性を示唆している。液体状の軽元素によって地震波速度は大きく低下し、ICの地震学的観測の結果に近くなる。また、S波速度の大きな低下から、柔らかいICに対する説明が得られる。さらに、軽元素の対流はICの地震学的構造と磁場に影響を及ぼす可能性がある。

