Article

発生生物学:細胞内Dppのリサイクルによるモルフォゲン勾配のスケーリング

Nature 602, 7896 doi: 10.1038/s41586-021-04346-w

モルフォゲン勾配は、発生中の組織で形態学的パターンを確立するための基本である。発生の際、勾配はスケーリングによって成長中の器官のサイズとの釣り合いを維持する。スケーリングは、生物のサイズに合わせてパターンを調整する普遍的な仕組みであるが、その機構は分かっていない。今回我々は、ショウジョウバエ(Drosophila)の翅原基におけるデカペンタプレジック(Dpp)勾配に注目して、スケーリングの背景にある細胞の生物学的基盤を明らかにする。Dpp勾配のスケーリングは、小さい翅原基から大きい翅原基まで、インターナリゼーションしたDpp分子のDpp輸送への関与を増やすことで達成される。つまり、この勾配を拡大するために、エンドサイトーシスされた分子は再びエキソサイトーシスされて細胞外に拡散する。組織成長の際に、エンドサイトーシスされたDppの、拡散している細胞外プールへの関与を調節するために、細胞外因子PentagoneによってDpp結合率が徐々に調節されて、これがスケーリングを引き起こす。従って、一部のモルフォゲンでは、進化がエンドサイトーシスによる輸送に作用して、その勾配やスケーリングの範囲を調節している可能性があり、これによって、さまざまな種の多様なサイズの器官に形状とパターンを合わせることができるのかもしれない。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度