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物性物理学:超高速消磁の際に角運動量を運ぶ偏光フォノン
Nature 602, 7895 doi: 10.1038/s41586-021-04306-4
磁気現象は自然界で普遍的に見られ、現代の科学技術に不可欠だが、物質の磁気秩序を急速に変化させることが困難なのはよく知られている。しかし、ニッケル薄膜に超短レーザーパルスを照射すると、フェムト秒の時間スケールで磁気秩序がほぼ完全に失われる。この現象は広く知られており、光の周波数に近い周波数での高速情報処理や超高速スピントロニクスの機会をもたらす。そのため、超高速消磁の物理が現代の材料研究の中心となっているが、材料がほんの数フェムト秒で磁化を失うとすれば、そうした短時間に失われた角運動量はどこに行くのか、という重要な問題はまだ解決されていない。今回我々は、超高速電子線回折を用い、ニッケルで、150~750 fs以内に現れる異方性高周波フォノンのほぼ瞬時に現れて長時間持続する非平衡集団を明らかにする。異方性の面は初期の磁化方向に対して垂直であり、原子振動の振幅は2 pmである。我々は、これらの観測結果を、巨視的な試料の回転の前にスピン系の角運動量を速やかに吸収する円偏光フォノンを用いて説明する。消磁に必要な時間は、原子を加速するのに必要な時間と関連している。今回の結果から、アインシュタイン–ドハース効果の原子論的な描像が得られ、非平衡ダイナミクスや相転移に対する偏光フォノンの一般的な重要性が示された。

