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物性物理学:ボソン系における異常金属の兆候

Nature 601, 7892 doi: 10.1038/s41586-021-04239-y

フェルミ液体理論は、大半の金属に関する我々の理解の基礎となっている。この理論では、金属の抵抗は明確に定義された準粒子の散乱から生じ、その散乱率は、低温極限では特性時間スケールの逆数が温度の2乗に比例するものとなる。しかし、さまざまな量子物質、特に高温超伝導体は、散乱率が温度に比例する異常金属挙動を示し、この中心的なパラダイムから逸脱している。今回我々は、準粒子の概念が適用されないボソン系において、異常金属性の予想外の兆候を明らかにする。今回のナノパターン形成されたYBa2Cu3O7−δ(YBCO)膜のアレイは、広い温度範囲と磁場範囲において、温度と磁場に比例する抵抗を示す。特に、クーパー対が形成される開始温度以下では、低磁場磁気抵抗効果は、超伝導磁束量子h/2eeは電子の電荷、hはプランク定数)によって決まる周期で振動する。同時に、ホール係数は、温度の低下とともに低下して測定分解能の範囲では消失し、これは、単一電子ではなくクーパー対が輸送過程を支配していることを示している。さらに、このボソン系の特性時間スケールτは、固有のエネルギースケールを伴わないスケール不変な関係である/τa(kBT + γμBB)に従う。ここで、は換算プランク定数、aは1のオーダー、kBはボルツマン定数、Tは温度、μBはボーア磁子、γ ≈ 2である。今回の結果は、異常金属の現象論の適用範囲をボゾン系に拡張することで、異常金属の輸送を支配する、粒子統計を超えた基本原理の存在を示唆している。

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