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環境化学:米国の異なる人口集団および所得層間での大気汚染曝露の格差

Nature 601, 7892 doi: 10.1038/s41586-021-04190-y

大気汚染は世界の疾病負荷に寄与しており、直径2.5 μm以下の微小粒子状物質(PM2.5)への環境曝露が、世界の死亡率の5番目のリスク因子であることが分かっている。米国では、人種的・民族的マイノリティーと低所得者層のPM2.5曝露による死亡リスクが、他の人口集団や所得層より高い。さらに、大気汚染曝露には、人口集団や所得層によって格差があることも知られている。今回我々は、米国全体の人口統計データ(米国勢調査局と米国コミュニティー調査による)とPM2.5のデータを結び付けたデータプラットフォームを開発した。そして、2000〜2016年のデータを、米国の郵便番号集計地域のレベルで分析した(Nは約3万2000)。その結果、白人やアメリカ先住民の割合が平均より多い地域では、黒人、アジア系、ヒスパニック系あるいはラテン系の割合が平均より多い地域よりも、さらされるPM2.5の平均濃度が一貫して低いことが明らかになった。また、2004〜2016年では、低所得者層の居住地域でさらされるPM2.5の平均濃度は、高所得者層の居住地域より一貫して高かった。さらに、米国環境保護庁(EPA)と世界保健機構(WHO)が設定した安全基準に対する曝露の格差が、時間とともに増大していることも分かった。今回の知見は、環境危険因子から全ての人々を同じレベルで守るには、より目標を絞ったPM2.5の削減が必要であることを示唆している。我々の研究は、観測に基づいたものであり、特定された格差をもたらした要因に関する知見は得られていない。

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