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生化学:RNAを切断するDNA触媒の時間分解構造解析
Nature 601, 7891 doi: 10.1038/s41586-021-04225-4
10–23 DNAザイムは、触媒活性を持つDNA配列の中でも最も重要なものの1つである。これは、幅広いさまざまなRNA標的を高度に選択的に切断する能力を持つことから、治療や生物工学に使用できる可能性がある。ただ、高い期待にこれまで応えられていなかったのは、その作用様式についての高分解能で時間分解した情報がなかったためである。今回我々は、原型の10–23 DNAザイムのはっきり見える状態全てについて高分解能NMRでその構造を示し、その触媒機能の速度論的性質と動態を包括的に調べた。決定された構造と明らかになったDNAザイム–RNA触媒開始前複合体の金属イオン結合部位から、DNAを介するこの触媒反応の基盤が3つの要素の相互作用であることが明らかになった。それらは、予想外だが興味深い分子構造、コンホメーションの独特な可塑性、それに金属イオンによる動的な調節である。我々はさらに、これまでは知られていなかった、DNAを介した触媒過程の律速段階となる一過性の中間体状態を、リアルタイムNMR測定によって明らかにした。論理的に選択した単一原子の置換により、このDNAザイムの性能をかなり高めることができたことから、今回得られた分子構造、その可塑性、長寿命の中間体状態の発生についての知見が、次世代DNAザイムを合理的に設計する際の出発点となることが実証された。

