素粒子物理学:16 pptの精度で測定された陽子の比電荷に対する反陽子の比電荷の比
Nature 601, 7891 doi: 10.1038/s41586-021-04203-w
素粒子物理学の標準模型は、途方もない成功を収めているとともに、明らかに不完全である。未解決なまま残されている問題の1つが、観測可能な宇宙における物質と反物質の著しい不均衡であり、この問題に触発されて、互いに共役な物質と反物質の基本的性質を高い精度で比較する実験が行われている。我々は、最先端の極低温ペニングトラップシステムを用いた分光によって、陽子と反陽子の基本的な性質を直接的に測定してきた。例えば、我々は以前、それまでの最良の測定より3000倍以上高い精度である1.5 ppbという精度で、陽子と反陽子の磁気モーメントを比較した。今回我々は、陽子の比電荷と反陽子の比電荷を16 pptという非常に小さな不確かさで比較した新たな結果を報告する。今回の結果は、合計1年半にわたって記録された4つの独立した長期にわたる測定の組み合わせに基づいている。我々は、さまざまな系統的影響を含むさまざまな測定方法と実験設定を用いた。最終的な結果は、−(q/m)p/(q/m)p = 1.000000000003(16)であり、基本的なCPT(荷電共役変換–パリティ変換–時間反転)不変性と矛盾せず、我々が得た以前の最良の測定結果に対して精度が4.3倍向上している。この測定は、1.96 × 10−27 GeV(信頼水準0.68)のエネルギースケールで標準模型を検証するものであり、拡張標準模型の10個の係数に新たな制限を加える。また、今回行われたサイクロトロンクロックの研究は、反物質に対してクロックの弱い等価原理(WEPcc)の破れを媒介する相互作用を仮定した際の大きさを1.8 × 10−7未満に絞り込むことができ、また、反陽子を用いたWEPccの異なる重力ポテンシャル下における初の差分検証も実現している。後者の解釈から、WEPccを破る差分係数は0.030未満に絞り込まれた。

