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神経変性:認知症を伴うALSの病的TDP-43繊維の構造
Nature 601, 7891 doi: 10.1038/s41586-021-04199-3
神経細胞やグリア細胞におけるTAR DNA結合タンパク質43 kDa(TDP-43)の異常な凝集は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や複数の病型の前頭側頭葉変性症(FTLD)を定義付ける神経病理学的特徴である。これはまた、アルツハイマー病やパーキンソン病を含む他の疾病においても認められる。これらの病態に対する疾患修飾療法は存在せず、早期診断も不可能である。病的なTDP-43凝集体の構造は不明である。今回我々は、クライオ電子顕微鏡法を用いて、認知症を伴う1例のALS患者の前頭葉と運動皮質、および同じ疾患の別の患者の前頭葉に蓄積したTDP-43の構造を決定した。2つの脳領域と2人の患者で、単一のプロトフィラメントからなる同一のアミロイド様繊維構造が見いだされた。その秩序だった繊維中心はTDP-43の低複雑性ドメイン中の282–360残基にわたっていて、過去に記述のないダブルスパイラル状の折りたたみ構造をとっており、in vitroで形成したTDP-43繊維の構造とも類似性を示さなかった。グリシンと中性極性残基が多いことからターン形成が促され、βストランドの長さが制限されて、その結果としてクロスβアミロイド構造に関連するβシートの重なりが欠如していた。残基の不均一な分布により、外部密度に面する構造的にも、化学的にも特徴的な表面が形成されており、リガンド結合部位としての可能性が示唆される。この研究により、ALSやFTLDの分子病態の理解が深まり、凝集したTDP-43を標的とする診断薬や治療薬の開発に役立つことが期待される。

