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古生物学:熱帯の季節性の変化によって強制された植物プランクトンの周期的進化
Nature 601, 7891 doi: 10.1038/s41586-021-04195-7
地球の軌道変動が全球的な気候サイクルの駆動に果たす役割は、長く認識されてきたが、それらが進化に及ぼす影響はこれまで知られていなかった。重要な石灰化植物プランクトン群である円石藻類の化石遺骸は、海洋堆積物中に大量に存在し、変化する環境への形態的適応を保存しているため、これによって、周期的な軌道規模の気候変動が進化に及ぼす影響の詳細な評価が可能になる。進化遺伝学的解析では、更新世の化石円石の幅広い形態変化が種の放散事象と関連付けられている。今回我々は、高分解能の円石データを用いて、過去280万年間の円石藻の形態的進化が、約10万年と約40万5000年の周期で変化する地球の軌道離心率によって強制されてきたことを示す。こうしたスペクトルのシグネチャーは、同時期の全球的気候サイクルのものとは異なっている。地球システムモデルと海洋の生物地球化学モデルを組み合わせてシミュレーションを行ったところ、離心率による季節サイクルの強力な調節が明らかになり、これが熱帯海洋で、年周期にわたって生じる生態的ニッチの多様性に直接影響を与えることが示唆された。海洋の表層条件の季節性の低下は、中型の円石を有する種に有利に働いて円石の炭酸塩の移出および埋没を増加させる一方、季節性の増強は、より広範なサイズの円石の種に有利に働き炭酸塩の移出を減少させる。我々は、離心率による植物プランクトン進化のペース決定は、全球の炭素循環記録に見られる強力な40万5000年の周期性に寄与したと考える。

