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エネルギー科学:太陽光と空気から作るドロップイン燃料
Nature 601, 7891 doi: 10.1038/s41586-021-04174-y
現在、航空輸送と船舶輸送は人為起源の総CO2排出量に約8%寄与しており、観光や国際貿易の増加によってこの寄与はさらに大きくなると予測されている。カーボンニュートラル輸送は、充電池で動く電気モーターで実現できるが、長距離商業輸送、特に航空輸送については、不可能ではないにせよ困難である。有望な解決策は、太陽エネルギーで駆動される過程によってH2OとCO2から作られるドロップイン燃料(灯油、ガソリン、ディーゼル油などの石油由来の液体炭化水素燃料に代わる合成代替品)である。可能性のある多くの方法の中で、高温プロセス熱の供給源として集中太陽放射を用いた熱化学的方法は、生成速度と生成効率が潜在的に高く、必要なCO2が大気から直接得られれば、真にカーボンニュートラルな燃料をもたらす可能性がある。また、H2Oも大気から抽出されれば、日照量が多く水資源の利用可能性が限られている砂漠地帯において、原料調達と燃料生産を同じ場所で行うことができる。そうした構想の個々の段階は実現されているが、今回我々は、現場条件で稼働する5 kWthermalのモジュール式パイロットスケール太陽熱システムを用いて、大気からのH2OとCO2の直接回収からドロップイン輸送燃料(例えば、メタノールや灯油)の合成までの一連の熱化学的ソーラー燃料生産全体の稼働を実証する。さらに我々は、研究開発の取り組みを明らかにするとともに、こうしたソーラー燃料の市場投入に必要な経済的実行可能性と政策について論じる。

