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天体物理学:星形成の初期における磁気的超臨界状態への移行

Nature 601, 7891 doi: 10.1038/s41586-021-04159-x

磁場は、星間物質の進化や星形成において重要な役割を担っている。ゼーマン測定は星間の磁場強度を直接測定できる唯一の方法であるが、特に低温の分子ガスに適したゼーマンプローブがないため、信頼できるゼーマン測定はまだほとんど行われていない。今回我々は、H Iの狭い自己吸収(HINSA)を通して、L1544の方向に+3.8 ± 0.3 μGという磁場を検出したことを報告する。L1544は、中心数密度が高く中心温度が低いことを特徴とし、星のない段階と原始星段階の間の初期遷移状態にある、十分に研究されている原型的な前恒星コアである。クエーサーのH I吸収、H I放射、OH放射、HINSAのゼーマン観測結果の総合的な分析から、原子状の低温の中性物質(CNM)から分子エンベロープに至るまでコヒーレントな磁場が明らかになった。HINSAによって追跡された分子エンベロープは、磁気的に超臨界状態であることが見いだされ、その磁場強度は、密度が大きく増大しているにもかかわらず、周囲の拡散した磁気的に亜臨界のCNMと同程度であった。このように、星形成に必要とされる、質量に対する磁束の減少は、HINSAで追跡された、拡散したCNMから分子ガスへの遷移時にすでに起こっていたと思われる。これは、崩壊して星になることができる磁気的に超臨界のコアが亜臨界のエンベロープから形成されるという、古典的な描像で想像されていた時期よりも早い。

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