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物性物理学:磁性ジグザグ型グラフェンナノリボンにおけるドーパントエッジ状態のスピン分裂

Nature 600, 7890 doi: 10.1038/s41586-021-04201-y

水素終端されたジグザグ型ナノグラフェンにおけるスピン秩序化した電子状態から磁気量子現象が生じ、炭素を用いたスピントロニクスに新たな関心を呼び起こしている。ジグザグ型グラフェンナノリボン(ZGNR)は、平行なジグザグエッジを境界とするグラフェンでできた細長い準一次元半導体で、リボンのエッジに沿って強磁性秩序化し、幅方向には反強磁性結合した固有の電子エッジ状態を有する。最近、対称性保護されたトポロジカル相のみならず金属性のゼロモードバンドを特徴とするGNRのボトムアップ合成が進展しているにもかかわらず、ジグザグエッジ状態とその下の支持体の表面状態の強い混成によって、ZGNRの固有の磁気エッジ構造は長い間、直接観測では明らかにできなかった。今回我々は、N原子置換ドーパントの超格子をZGNRのエッジに沿って導入することによって、反応性の高いスピン偏極エッジ状態を熱力学的に安定化しつつ電子的に分離する一般的な手法を提示する。第一原理GW計算と走査型トンネル分光法によって、ZGNRの強磁性秩序化したエッジ状態が誘起する交換磁場(約850テスラ)による、低位の窒素孤立電子対フラットバンドの巨大スピン分裂が明らかになった。今回の知見は、ZGNRで予測されていた創発的磁気秩序の性質を直接裏付けるとともに、ZGNRを調べ、ナノスケールのセンシングデバイスや論理デバイスへと機能を統合するためのロバストなプラットフォームを提供している。

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