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構造生物学:σ2受容体の構造によって可能になった生物活性リガンドのドッキングによる発見

Nature 600, 7890 doi: 10.1038/s41586-021-04175-x

σ2受容体は、がんの画像化や精神疾患、神経因性疼痛などの生物学分野で強い関心を集めている。今回我々は、この受容体が臨床薬候補であるロルペリドン、またツール化合物であるPB28と複合体を形成した状態の結晶構造を決定した。これらの構造を鋳型として、4億9000万個のバーチャル分子とのドッキングによる大規模スクリーニングを行い、そのうち484個の化合物を合成して試験した。その結果、1 μMより高い親和性を持つ127個の新規化学種が明らかになり、そのうち31個は50 nMより高い親和性を持っていた。ヒット率はドッキングスコアとともになだらか、かつ単調に減少した。我々はヒットした3つに対して有効性と選択性を最適化して、3〜48 nMの親和性を達成し、σ1受容体に対する選択性は最高で250倍であった。σ2受容体と結合した2つのリガンドの結晶構造から結合の際のポーズが確認された。σ2受容体の疼痛への関与を調べるために、強力なσ2選択的リガンド2つと、σ12非選択的で強力なリガンド1つを用いて、神経因性疼痛のマウスモデルで有効性が試験された。3つのリガンド全てが、神経部分損傷モデルで機械痛覚過敏性の時間依存的低下を引き起こし、σ2受容体が侵害受容に役割を持つことが示唆された。この研究は、超巨大ライブラリーに対する構造ベースのスクリーニングがin vivoプローブの迅速な発見をもたらした好例であり、生物学のまだ十分調べられていない分野の研究を可能にするだろう。

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