Review

コロナウイルス:SARS-CoV-2の出現、ゲノム多様性、世界的な広がり

Nature 600, 7889 doi: 10.1038/s41586-021-04188-6

2019年に中国の武漢で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の最初の症例が報告されて以来、世界は、2億3800万例を超える症例数、500万人に迫る死者数、急増し続ける日々の感染者数という壊滅的なパンデミック(世界的大流行)を目の当たりにしてきた。本論文で我々は、COVID-19の原因病原体である重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の出現について現在利用可能なデータを説明し、武漢での初期のウイルス拡散と、中国国内および世界の他の地域でのこのウイルスの伝播パターンの概要を示すとともに、ゲノム監視が、人の移動などに関するデータと共に、どのようにウイルスの拡散や遺伝的変動の追跡に役立ち、また、どのようにパンデミック制御のための重要な要素となってきたかを明らかにする。我々は特に、2020年後半に最初に特定されたSARS-CoV-2の主な懸念される変異株(VOC)の国際的な広がりの特徴付けと説明に注意を払い、ウイルスの進化が新しい段階に入ったことを示す。より広範には、我々は、自然界におけるコロナウイルスの多様性についての現在の我々の理解の限界、ますます接続性の増す世界におけるSARS-CoV-2とその変異株の急速な拡散、ワクチンによる防御の低下、ゲノム技術を用いた協調的な世界規模の監視の喫緊の必要性について明らかにする。まとめると、我々は、現在進行中のCOVID-19のパンデミックと、今後の世代のヒト集団において必然的に出現する新たな疾患の両方の予防と制御に重要な情報を提示している。

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