Article

神経科学:エクササイズ血漿は記憶力を強化し、クラステリンを介して脳の炎症を軽減させる

Nature 600, 7889 doi: 10.1038/s41586-021-04183-x

フィジカルエクササイズは通常ヒトや動物の健康のあらゆる側面に有益であり、認知機能の老化と神経変性を遅らせる。フィジカルエクササイズの認知機能への恩恵は、海馬での可塑性の向上と炎症の軽減に結び付けられているが、これらの効果を仲介する因子と機構については、まだほとんど分かっていない。今回我々は、自発的に走っているマウスから採取した「ランナー血漿」を低活動状態のマウスに注入すると、ベースラインの神経炎症性遺伝子発現が低下し、実験的に誘導した脳の炎症が軽減することを示す。また、血漿プロテオミクス解析から、クラステリン(CLU)などの補体カスケード阻害因子が協調的に増加していることが明らかになった。静脈内注射されたCLUは脳の内皮細胞に結合し、急性脳炎症やアルツハイマー病のマウスモデルにおいて神経炎症遺伝子の発現を低下させた。構造化エクササイズに6か月間参加した認知障害のある患者では、CLUの血漿レベルがより高かった。これらの知見は、抗炎症性エクササイズ因子の存在を実証しており、これらの因子は移植可能で、脳血管系を標的とし、脳に有益であり、エクササイズを行っているヒトに存在する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度