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構造生物学:プレスチンのコンホメーションサイクルは外有毛細胞の電気運動性の基盤である
Nature 600, 7889 doi: 10.1038/s41586-021-04152-4
電位依存性モータータンパク質のプレスチン(別名SLC26A5)は、外有毛細胞の電動性の挙動に関与しており、蝸牛による増幅の基盤となっている。プレスチンのノックアウトや機能障害は重度の難聴の原因となる。聴覚におけるその重要な役割にもかかわらず、哺乳類のプレスチンが電位を感知し、それを細胞スケールの動き(電気運動性)へと変換する機構はほとんど解明されていない。今回我々は、イルカのプレスチンについて、6つの異なる状態の構造を単粒子クライオ電子顕微鏡法により決定した。我々の構造学的および機能研究データから、プレスチンは各状態の独特で複雑なセットとして存在し、セットは結合した陰イオン(Cl−またはSO42−)の種類により調節可能なことが示唆された。可逆性の難聴を引き起こすことができる薬物のサリチル酸は、プレスチンの陰イオン結合部位に対して競合していて、プレスチンを新しいコンホメーションに固定することでその機能を阻害する。我々のデータから、結合した陰イオンは、その電荷を持つ配位した残基およびらせん状の双極子と共に、動的な電位センサーとして作動していると考えられる。陰イオン依存性の全てのコンホメーションの解析から、電位センサーでの構造再編成がタンパク質–膜界面でのコンホメーション遷移と共役する仕組みが明らかになり、これまで報告されていなかった面積膨張の機構が示唆された。プレスチンの電気運動性サイクルの可視化により、このタンパク質が非常に近縁のSLC26陰イオン輸送体とは区別され、哺乳類の蝸牛増幅装置の進化の過程での特殊化の基盤が高分解能で明らかにされた。

