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分子生物学:真核生物のリボソーム転位の正確性保持機構
Nature 600, 7889 doi: 10.1038/s41586-021-04131-9
遺伝暗号のタンパク質への翻訳は、メッセンジャーRNA(mRNA)と転移RNA(tRNA)がリボソーム内を同調しながら移動する転位という過程の繰り返しによって実現する。真核生物の転位が確実に進むのは、この過程を触媒する伸長因子2(eEF2)によっており、この因子が転位の正確性に能動的に寄与している。真核生物で保存されているeEF2での翻訳後修飾であるジフタミドとtRNAの修飾が、両方とも転位の精度の維持に重要な役割を果たしていることは多くの研究で指摘されているが、これらの特異的機能を記述する分子レベルの詳細な機構は、ほとんど解明されていない。今回我々は、mRNAおよび本来の形に修飾されたeEF2、tRNAを含む転位中間状態にある真核生物80Sリボソームの高分解能X線結晶構造を報告する。この結晶構造から、コドン–アンチコドン相互作用を安定化する、ジフタミドとワイブトシンが関わるネットワークが明らかになった。ワイブトシンは、フェニルアラニンtRNAの37位にある高度に修飾されたヌクレオシドで、やはり翻訳の精度を高めることが知られている。このモデルによって、暗号解読中心がコドン–アンチコドン二重鎖を放してリボソーム上での移動を可能にする仕組みが明らかになり、eEF2が転位の方向性を決める「歯止め」の働きをすることがはっきりした。転位という複雑な過程の中で、80Sリボソーム、eEF2、tRNAという真核生物特異的な要素が、分子レベルの大規模な再編成を経て、mRNAの読み枠が確実に維持されるように働く機構が、このモデルから示唆される。

