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免疫学:ハイブリッド免疫はSARS-CoV-2変異株に対するB細胞と抗体を改善する

Nature 600, 7889 doi: 10.1038/s41586-021-04117-7

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)変異株の出現は、現在使われているワクチンの有効性を危うくし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するモノクローナル抗体を用いた治療の適用を制限している。今回我々は、BNT162b2 mRNAワクチンを接種した5人の未感染者と5人の回復期患者の記憶B細胞の解析を行い、B細胞と抗体応答の性質を単一細胞レベルで調べた。約6000個の細胞を選別し、そのうちの3000個以上がスパイクタンパク質に対する抗体を産生し、400個以上の細胞が中国の武漢で最初に見つかったSARS-CoV-2ウイルスの原株を中和した。B.1.351(ベータ)株とB.1.1.248(ガンマ)株は、これらの抗体の約70%を回避したが、B.1.1.7(アルファ)株とB.1.617.2(デルタ)株に影響を受けた抗体の割合はもっと少なかった。中和活性の全体的な喪失は、未感染者からの抗体で常に大幅に高かった。これは、部分的には、IGHV2-5;IGHJ4-1生殖細胞系列によるものであり、これは回復期にあって強力かつ広範囲に働く中和抗体を産生する回復期患者でのみ見つかった。我々のデータは、感染もしくは初回ワクチン接種後に血清陽性となった個体では、有効性と中和範囲の増加した抗体が産生され、新たに出現するSARS-CoV-2変異株をよりよく制御できる可能性を示唆している。

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