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化学:パラジウム分子触媒を用いるアリールチアントレニウム塩のトリチウム化

Nature 600, 7889 doi: 10.1038/s41586-021-04007-y

トリチウム標識化は、薬剤の薬物動態的特性や薬力学的特性の研究、オートラジオグラフィー、受容体結合や受容体占有の研究のための重要な手段である。トリチウムガスは、高い同位体純度で利用可能なため、標識分子の合成のトリチウム源として好ましい。一般にトリチウムガスからのトリチウム標識の導入は、不均一遷移金属触媒を用いる(擬)ハロゲン化アリールのトリチウム化によって実現される。しかし、炭素上に担持されたパラジウムなどの不均一触媒が作用する反応機構は、医薬化合物の顕著な特徴である他の官能基も還元してしまう。均一パラジウム触媒は(擬)ハロゲン化アリールと化学選択的に反応可能であるが、必要となる酸化的付加の後に二水素を開裂できないため、水素化分解反応には用いられていない。今回我々は、明確に定義されたパラジウム分子触媒を用いる均一水素化分解反応を報告する。我々は、チアントレン脱離基(後期段階C–H官能基化によって医薬化合物に選択的に導入できる)の関連パラジウム(II)触媒への配位能力が従来の脱離基とは異なることで、これまで実現されなかった二水素との触媒反応が可能になるという機構を示す。この独特な反応性と明確に定義されたパラジウム分子触媒の化学選択性を組み合わせることによって、不均一触媒では許容できない可能性がある官能基を含む小分子医薬化合物のトリチウム化が可能になる。今回のトリチウム化反応は、不活性雰囲気や乾燥条件を必要としないため、実用性があり安定して実施でき、医薬品の発見や開発に直ちに影響を及ぼす可能性がある。

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