Article

物性物理学:魔法角ねじれ2層グラフェンにおける分数チャーン絶縁体

Nature 600, 7889 doi: 10.1038/s41586-021-04002-3

分数チャーン絶縁体(FCI)は、分数量子ホール状態の格子版であり、非アーベル励起の操作への新たな道を開く可能性がある。初期の理論研究によって、フラットなチャーンバンドを持つ系におけるFCIの存在が予測され、特定の量子幾何構造の重要な役割が浮き彫りになった。しかし、FCI状態は、六方晶窒化ホウ素(hBN)と向きをそろえたBernal型積層2層グラフェン(BLG)でしか観測されておらず、この系でのチャーンバンドの存在は非常に高い磁場に起因するため、ゼロ磁場ではFCIを実現できない。対照的に、魔法角ねじれBLGにはゼロ磁場においてフラットチャーンバンドがあるため、ゼロ磁場FCIを安定化する有望な手段が得られる。今回我々は、高分解能局所圧縮率測定によって、魔法角ねじれBLGにおいて低磁場で8つのFCI状態を観測したことを報告する。これらの状態のうち最初のものは5 Tで現れ、その出現と同時に、近傍のトポロジカルに自明な電荷密度波状態は消失した。我々は、BLG/hBNプラットフォームの場合と異なり、弱磁場の主要な役割が、元から存在するチャーンバンドのベリー曲率を単に再分布させることであり、これによって、FCIの出現に適した量子幾何構造が実現されることを実証する。今回の知見は、ゼロ磁場でFCIを実現できる可能性があることを強く示唆するとともに、フラットモアレチャーンバンドにおけるエニオン励起の探索と操作への道を開くものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度